扉は閉ざされたまま(石持浅海)

扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル)
読了。
お見事、とはこういう事を言うのだろう。
起きた事件は殺人事件。現場は密室状態。しかし、その密室の扉は、タイトルにもあるように「閉ざされたまま」。
当然、扉の外にいる人達は、犯人を除き、中で何が起きたのか、あるいは起きているのかわからない。
必然的に、ストーリィは外にいる者達の議論だけで展開される。
犯人は扉を開けさせまいとし、探偵役は中がどういう状況になっているのかを確かめようとする。
そのやりとりが素晴らしい。
奇をてらったトリックではなく、凝りに凝ったプロットでもなく、丁寧にロジックを積み重ねていく。
動機については少し飛躍しすぎかなと思える程度。
このストーリィで「古畑任三郎」でもやってみるかい?