わが一高時代の犯罪・呪縛の家・妖婦の宿・短編(高木彬光)

「妖婦の宿」を読んだところ。
天城一の密室犯罪学教程」において「逆密室(+)」の好例としてあげられていた作品。
著者の高木氏も「私が考えた密室トリックでも、最高のものではないかと思う」と自画自賛し、天城氏もそれを支持している。
が、この作品(短編)を収めた本は、おそらく現在入手が困難な状況にあるのではないだろうか。

だいぶ前にYahoo!Auctionで、光文社刊の「高木彬光長編推理小説全集(全16巻・別巻)」を落札・入手しており、その第2巻がタイトルにもあるこれである。(↓ 参考)
http://tantei-jp.hp.infoseek.co.jp/complete/takagi001.htm

ただ、せっかくオークションで落札したにもかかわらず、数年が経とうとする現在においても、まだ一冊も読んでいないというのが…orz

「犯罪学教程」で、そのトリックについて言及している場所があった。
手元に「妖婦の宿」が無ければ、そのままネタバレも気にせずに読んでいたが、せっかく手元にあるのだからと、その部分は読むのは「妖婦の宿」を読んでからと後まわしにしていた
で、読んでみた。

内容はいわゆる犯人当て。問題編と解答編の間に読者への挑戦状が挟まれている。
犯人は、よほどの事がないかぎり、容易に見当がつく。
トリックは、作者自身の言葉に嘘は無いと言える。
機械トリックではない、純粋な心理トリックによる密室の構築は、読んでいて気持ちが良い。