生首に聞いてみろ(法月綸太郎)

生首に聞いてみろ
読了。久々に読み応えのある作品。
【人体石膏像の首が切断され紛失 → そのモデルとなった人物の首が切断される】
という「犯罪予告と猟奇殺人」の図式が、結末においてガラッとその様相を変えてしまう。
読者を驚かせるための仕掛けはなく、探偵と同じ立場で純粋に推理に没頭する事が出来る。
探偵役の法月綸太郎が、相変わらず自らの立場に苦悩している姿はもはや滑稽ですらあるが、
未だに解決できないテーマであるという事も、一方で事実だろう。

ちなみに、小説内においてしばしば携帯電話が出てきて、メールのやりとりをする場面も何度か登場している。法月警視が部下からメールで連絡を受ける場面もあった。
小説内における時代設定は1999年の秋頃になっていたはずだが、携帯電話を用いたメール機能が一般化し始めたのは、いわゆるNTTドコモi-modeサービスが始まってからだと考えられるが、そのサービスが開始されたのは、1999年の2月である。
半年以上経っているとはいえ、まだそれほどユーザがいたとは思えない。ましてや法月警視の年代の人がメールを使っているという状況はなかなか想像しにくいものがある。
とまあ、本編とは全く関係ない突っ込みをしておこう。